※2020年1月20日更新 最新情報を掲載しています。
長男が来年高校受験です。
できることなら公立の高校に行ってほしいですが、志望校に合格できなかった場合は私立高校に行くことになるかと思います。
私立高校の学費を払うお金がない。公立に行ってと息子に話した結果(1)- 余裕がないのに私立中学に行かせてしまった
公立高校の授業料が無料になったのにともなって、私立高校も「高等学校就学支援金」といって学費の援助が受けられる制度があるんですよね。
しかも、2020年度から修学支援金の金額が大幅に引き上げられて私立高校の授業料も実質無料!?なんていう話も・・・。
自分のことなので必死に調べて、なんとか理解できました。
がんばって、できるだけわかりやすくまとめてみたいと思います。
▼2020年1月20日更新!就学支援金の最新情報はこちら
詳細決定!2020年度以降の就学支援金の支給額と課税所得の基準額
私立高校の学費の相場はどれくらい?
どれだけ援助が受けられるのかという話の前に、まずは私立高校の学費っていくらかかるの?という問題です。
もちろん学校によってまちまちなのですが、平均的な学費の相場を知っておきたいですよね。
平均額は文部科学省の「平成30年度私立高等学校等初年度授業料等の調査結果について」という資料で公表されています。
私立高校の学費の平均額(全国平均)
私立高校の学費の平均額(年額)は次のとおりです。
授業料 39万9,152円
施設整備費等 16万8,562円
入学料 16万3,272円
初年度合計 73万986円
2年目以降は「入学料」がなくなるので、約57万円ということですね。
私立高校の学費の平均額(都道府県別)
都道府県別の学費の平均額も公表されています。
最も高いのが東京都で、初年度合計額は 915,237円。
最も安いのは愛媛県で、初年度合計額は 474,392円。
2倍近く開きがあるんですね!
授業料 | 施設整備費 | 入学料 | 合計 | |
北海道 | 342,667 | 67,130 | 197,078 | 606,875 |
青森県 | 372,647 | 109,810 | 57,451 | 539,908 |
岩手県 | 314,769 | 118,572 | 95,385 | 528,726 |
宮城県 | 342,476 | 310,060 | 68,824 | 721,360 |
秋田県 | 299,600 | 181,928 | 154,000 | 635,528 |
山形県 | 404,786 | 89,421 | 134,881 | 629,088 |
福島県 | 287,035 | 113,919 | 142,941 | 543,895 |
茨城県 | 344,375 | 291,733 | 183,333 | 819,441 |
栃木県 | 291,429 | 253,986 | 145,714 | 691,129 |
群馬県 | 326,172 | 224,251 | 128,308 | 678,731 |
埼玉県 | 378,067 | 207,419 | 224,615 | 810,101 |
千葉県 | 315,733 | 245,574 | 151,042 | 712,349 |
東京都 | 452,476 | 212,519 | 250,242 | 915,237 |
神奈川県 | 445,013 | 260,433 | 208,589 | 914,037 |
新潟県 | 308,909 | 117,963 | 150,000 | 576,872 |
富山県 | 376,440 | 69,760 | 99,500 | 545,700 |
石川県 | 342,667 | 117,011 | 70,000 | 529,678 |
福井県 | 282,720 | 102,250 | 98,000 | 482,970 |
山梨県 | 323,782 | 223,030 | 133,182 | 679,994 |
長野県 | 448,559 | 210,488 | 152,353 | 823,341 |
岐阜県 | 309,066 | 210,105 | 108,000 | 627,171 |
静岡県 | 407,797 | 110,187 | 92,901 | 610,885 |
愛知県 | 407,533 | 44,576 | 202,776 | 654,885 |
三重県 | 297,692 | 249,687 | 53,077 | 600,456 |
滋賀県 | 402,500 | 211,400 | 152,000 | 765,900 |
京都府 | 527,838 | 197,378 | 91,872 | 817,088 |
大阪府 | 580,622 | 26,958 | 194,917 | 802,497 |
兵庫県 | 401,855 | 204,054 | 237,885 | 843,794 |
奈良県 | 411,875 | 177,250 | 140,625 | 729,750 |
和歌山県 | 429,578 | 77,333 | 157,778 | 664,689 |
鳥取県 | 284,625 | 162,650 | 51,250 | 498,525 |
島根県 | 393,600 | 23,867 | 86,000 | 503,467 |
岡山県 | 323,291 | 381,173 | 85,000 | 789,464 |
広島県 | 389,604 | 85,243 | 186,557 | 662,197 |
山口県 | 333,331 | 108,209 | 79,750 | 521,290 |
徳島県 | 412,000 | 159,333 | 200,000 | 771,333 |
香川県 | 306,000 | 168,950 | 128,000 | 602,950 |
愛媛県 | 285,200 | 150,442 | 38,750 | 474,392 |
高知県 | 327,750 | 103,125 | 138,750 | 569,625 |
福岡県 | 298,292 | 253,393 | 37,500 | 589,185 |
佐賀県 | 314,667 | 196,833 | 99,707 | 611,207 |
長崎県 | 360,236 | 66,377 | 107,174 | 533,787 |
熊本県 | 289,200 | 193,708 | 70,476 | 553,384 |
大分県 | 326,357 | 106,138 | 123,214 | 555,710 |
宮崎県 | 290,486 | 122,414 | 116,607 | 529,507 |
鹿児島県 | 521,263 | 47,570 | 99,286 | 668,119 |
沖縄県 | 327,750 | 131,117 | 110,000 | 568,867 |
参考
私立高等学校(全日制)の初年度授業料等について(平成26年度~平成30年度)文部科学省
【注意!】授業料だけじゃない。「施設整備費等」も高額
私立高校の学費の平均額を見てわかるとおり、学費=授業料ではないんです。
私立高校では授業料のほかに「施設整備費等」という費用がかかります。
初年度は入学金もかかりますよね。
この記事の冒頭で「2020年度より私立高校の授業料が実質無償化」と書きました。
そう聞くと、完全に無料で私立高校に通えるの?と思ってしまいますが、そういうわけではないんです。
お気づきでしょうか?
- 授業料
- 施設整備費
- 入学料
と大きく3種類の費用がかかるうちの、「授業料」が2020年度より実質的に無償化されるという話なんです。
ただし、他の援助制度によって「施設整備費」や「入学金」にも補助が出るケースもあります。
詳しく見ていきましょう。
私立高校の学費の援助制度は主に3つある
私立高校の学費の援助制度は、大きく3つに分かれています。
- 多くの家庭が受けられる、国からの援助制度「高等学校就学支援金」
- 低所得の家庭が受けられる「高校生等奨学給付金」
- 都道府県別の援助制度
2020年度から金額が大幅にアップするのが、①の「高等学校就学支援金」です。
順番に詳しく説明していきます。
全国一律で多くの家庭が受けられる「高等学校等就学支援金」
メインとなる1つ目の援助制度は「高等学校等就学支援金」です。
私立高校等に通う生徒に対しては、以前から「就学支援金」として保護者の所得に応じて授業料の援助制度がありました。
その支援金の額が2020年度以降、大幅にアップします。
これまでは世帯の年収の目安が
270万円以下の場合
350万円以下の場合
590万円以下の場合
910万円以下の場合
と細かく分かれて段階的に支給額が決められていましたが、
2020年度以降は
590万円以下の場合
910万円以下の場合
この2通りになります。
世帯年収の目安が910万円を超える場合は支給されません。
世帯年収で判断するの?
パンフレットでは「世帯年収の目安」という表現で示されていますが、実際には世帯の「課税所得」で判断されます。
これまでは住民税の所得割額で判断されていたので、この点も2020年度からの変更点です。
課税所得がいくら以下なら高等学校等就学支援金の対象になる?
世帯年収が同じでも、家族構成などによって「課税所得」は変わってくるはずなので、課税所得でどのように判断されるのか基準や計算方法を詳しく知りたかったのですが、いくら調べてもそのあたりの詳しい情報が見つかりませんでした。
文部科学省の就学支援プロジェクトチームに問い合わせてみたところ、課税所得の基準はまだ決まっていないという回答でした。国会の審議を経て2020年1月か2月ごろに公表予定とのことです。(2019.11.18)
⇒課税所得の基準の詳細がわかりました(2020.1.9)
よく誤解している人がいるのですが、課税所得が590万円以下、910万円以下ということではありませんよ。
「課税所得を基準として判定する」としているのに、課税所得がいくら以下なら該当するのか示してくれていないんです。
かわりに、「両親・高校生・中学生の4人家族で両親の一方が働いている場合の世帯年収の目安」が590万円以下、910万円以下という示し方になっています。
▼2020年1月20日更新!就学支援金の課税所得の基準がわかりました
詳細決定!2020年度以降の就学支援金の支給額と課税所得の基準額
高等学校等就学支援金はいくら支給される?
就学支援金の支給額は次のとおりです。
世帯の年収の目安が
590万円以下の場合:39万円6,000円
910万円以下の場合:11万8,800円
910万円を超える場合:なし
「授業料」の援助制度である。施設整備費は無償化ではない
就学支援金の上限額は39万6,000円と書きましたが、注意したいのは、これは授業料の援助制度であるという点です。
学費の相場のところでも書きましたが、私立高校の学費は「授業料+施設整備費+入学料」です。
たとえば、A高校では
授業料 30万円
施設整備費 20万円
入学料 20万円
初年度合計 70万円
だったとします。
就学支援金の上限額は39万6,000円ですが、A高校の場合は授業料が30万円なので、支給される金額は30万円。
残りの40万円(施設整備費+入学料)は自己負担ということになります。
また、就学支援金の申請をしてから支給されるまでかなり時間がかかるので、いったん授業料などすべて保護者が支払い、あとで就学支援金分を保護者に返金するという学校も多いようです。
低所得の家庭が受けられる「高校生等奨学給付金」
2つ目の援助制度が「高校生等奨学給付金」です。
これは授業料以外の部分、「施設整備費」や「入学料」に対して援助が受けられる制度です。
ただしこちらは生活保護世帯と住民税非課税世帯が対象で、かなり低所得の家庭に限られています。
給付額は以下のとおりです。
生活保護需給世帯:年額5万2,600円
住民税非課税世帯
(第一子)年額9万8,500円
(第二子以降)年額13万8,000円
私立高校の学費の全国平均額をもう一度掲載しておきますね。
授業料 39万9,152円
施設整備費等 16万8,562円
入学料 16万3,272円
初年度合計 73万986円
授業料は「就学支援金」から全額援助されるから実質無料になるとして、施設整備費等と入学料を合わせて約33万円。
それに対して、住民税非課税世帯でも年10万円ほどしか給付が出ないんですね。
なかなか厳しいと思います。
ちなみに住民税非課税世帯とは住民税が0円の世帯のことです。
年収の目安で言うと、夫婦と子供2人の場合で年収255万円以下くらいです。
都道府県別の援助制度
3つめの援助制度は、都道府県ごとに設けられている援助制度です。
都道府県ごとにバラバラの内容なので調べるのが大変ですが、文部科学省のホームページに支援内容をまとめたPDFが掲載されていたので紹介しておきます。
ただし、平成30年度(2018年度)の内容なので注意してください。
2020年度(令和2年度)より、国から支給される「高等学校等就学支援金」の額が大幅に引き上げられるので、都道府県ごとの援助制度の内容も大きく変更される可能性が高いです。
東京都に2020年度からの私立高校生への支援制度がもう決まっているか問い合わせてみましたが、国の制度がはっきり決まっていないのでまだ検討もできていないということでした。(2019.9.18)
⇒東京都は支援制度の方針が固まったようです。(2019.1.10)詳しくはこちら
⇒大阪府も2020年度の支援内容を公表しています(2020.1.14)詳しくはこちら
>>平成30年度(2018年度)の私立高校生(全日制)への各都道府県における支援制度の概略(一覧表)
>>平成30年度(2018年度) 都道府県別 私立高校生(全日制)への授業料等支援
特に援助の額が多いのは、埼玉県、京都府、大阪府などです。
入学料についても、給付や貸付制度が設けられている都道府県もあります。
就学支援金や都道府県ごとの支援制度に関する問い合わせ先
国の就学支援金の内容はやっと公表されましたが、都道府県ごとの支援制度はまだ決まっていないところが多いようです。
子供を私立高校に通わせるのに、いったいいくらかかるのか、どれくらい援助が受けられるのかというのは、わが家のように家計が苦しい世帯では本当に重大な問題ですし、一刻も早くはっきりした金額を知りたいものです。
私立高校の支援制度について文部科学省のホームページに都道府県ごとの問い合わせ先の一覧が掲載されていたので、最新情報の問い合わせや、わからない点の相談などは、こちらに電話してみるとよいと思います。
>>私立高等学校における就学支援金(現行制度及び旧制度)の問合せ先一覧
私立高校独自の授業料減免制度も
ここまで、国や都道府県の援助制度を紹介してきましたが、私立高校では学校独自で学費の減免制度を設けていることもあります。
学校独自のものなので、その高校のホームページや学校説明会などで確認するようにしましょう。
よくあるのが、こういったケースで受けられる減免制度です。
- 成績優秀者
- 兄弟で通う場合
- スポーツの実績
- 一人親家庭
成績優秀者については、入試の成績や、入学してからの定期テストの点数によって全額減免・半額減免になるものなどがあると思います。
入試の成績が優秀でなおかつ「専願で受験して合格した人」など条件付きの場合もあるでしょう。