Eテレで2019年11月30日放送の「ウワサの保護者会」
テーマは「児童相談所~子どもの一時保護~」
※再放送は12月7日(土)午後0時30分~
先週に引き続き児童相談所がテーマです。
先週は児童相談所の一時保護について、保護者側からの声が紹介されていました。
▼先週の感想
「もしものときの児童相談所」ウワサの保護者会を観た正直な感想
では、一時保護された子ども側はどう思っているのか?
今回は一時保護された子どもの声が紹介されていました。
保護者側も子ども側も、一時保護されて結果的には良かったと思っているようだけど「もうちょっとなんとかならないのか…」という不満も伝わってくる内容でした。
一方、後半で紹介されていたNPOの取り組みはとってもハートフルで、ちょっと涙がこみ上げてきました。
「家に帰りたくない」と一時保護された中学生のケース
前回紹介されていたお母さんの娘さん「さきさん」(中学1年生)のケースです。
父親から毎晩怒鳴られていた。
「読んだ本を片付けろ!」「スマホを出しっぱなしにするな!」「制服を脱ぎっぱなしにするな!」
怒りのスイッチが入ると何十分でも怒鳴り続ける。
母親がいくらやめるように言ってもエスカレートするばかり。
「片付けないならこの家から出て行け!」
さきさんが別の部屋に逃げると追いかけてきてもみ合いになることもあった・・・。
さきさん
「全部心にくる。体じゃなくて体の中の気持ちが傷ついていた。
毎日お父さんが帰ってくるのが怖いとか、お父さんが帰ってきたらどうしようとか、喋りたくないとか、気が重くなる。
やっぱりどうしても帰ってくるから夜が1番怖い。」
「何回も死にたいと思った。自分も死にそうで怖かったけど、いつ私がお父さんを殺すかもわからない。1番怖かったのは自分が死ぬよりもお父さんを殺してしまうって・・・」
ここまで思い詰めている事は誰にも言えなかったそうです。
1年近くひとりで我慢したものの「これ以上我慢してたら危ない。助けて欲しい」と感じ、学校の連絡帳に
「お父さんのいる家にもう帰りたくありません」
と書いたそうです。
翌日、学校は児童相談所に連絡しました。
その日のうちに訪れた児童相談所の職員に、さきさんは3時間かけて父親のことを話しました。職員さんは優しく話を聞いてくれたそうです。
「今日は家に帰りますか?」「帰りたいですか?」と聞かれて
「お父さんの顔を見るだけで怖い」と答えたら、
「ちょっと保護しますね。児童相談所にいきましょう」と。
一時保護の施設では個室にひとり。はじめての場所で心細かったと言います。
でも、「お父さんがいるよりは多分安心だった」と。
ここまでは保護されて良かったね、めでたしめでたしという話です。
でもここからが・・・
1~2日のつもりが2カ月間保護
「ちょっと保護しますね。児童相談所にいきましょう」と言われて、さきさん的には1~2日くらいだろうと思っていたそうです。
ところが保護された期間はなんと2か月。
子育てがつらくて自ら児童相談所に助けてほしいと連絡したお母さんが同じようなことを言っていました。
2~3日子供を預かってもらえると思っていたけれど、その日からいきなり2カ月間「一時保護」になったって。
なんか機械的にとにかく2か月引き離す・・・みたいなルールでもあるんでしょうか?
2カ月間ってめちゃくちゃ長いですよ。
さきさんは、学校から制服のまま一時保護施設へつれて来られ、持ち物、制服、教科書すべて保護施設が預かり、2か月間返してもらえなかったそうです。
勉強するために筆箱を返してもらうこともできない。
髪を結ぶためのゴムが1つ認められただけで、それ以外ピンも何もかも返してくれない。
さらに外出もできない。学校にも通えない。
さきさん
「好きな子とか友達とかいたから学校とか部活には行きたい。
いつ出れるんですかって聞いたんですけど、(父親と)別居とかそういう提案がない限り、安心だと思えない限り、出させられないって言われて。」
「お父さんが悪いのに、わたしだけこんな思いをして、お父さんは家でダラダラしてるのにわたしだけすごく過ごしにくい環境で学校にも行けなくて遊べない。
なんであっちが悪いのにわたしがこんな思いしないといけないんだろうって」
一時保護期間は学校に通えない。勉強はどうなるの?
スタジオでは他の保護者から「学校に通えないんですか?」と驚きの声があがっていました。
ゲストで出演していたお笑いコンビ北陽の虻川さんは
「守られてるっていう事実もありながら、もうちょっと柔らかくしてもらえたらって思っちゃいますね」と。
まあ確かに、とんでもない虐待親が学校への登下校中を狙って子どもを取り返しに来る…なんてことも想定できるので、仕方がないことなのかなとは思いますが、2カ月間友達とも会えないのは子どもがかわいそうです。
勉強も遅れてしまうし。
最短コースが「2ヵ月から」なのでしょうか…?
児童相談所の所長経験者の方もおっしゃっていましたが、一時保護所には課題がたくさんあって、中でも「保護中の期間学校に行けない」という点は最大の課題なのだそうです。
一応学習タイムはあるものの、復習プリントのようなものをさせるだけで、学年に応じた勉強を教えてもらうようなことはないそうです。
先生を配置するのが大変なら、いまどき授業動画が見られるサービスなどもいくらでもあるじゃないですか。
2カ月も長いけど、場合によっては1年以上出られない子もいるわけでしょう?
1年も勉強が遅れてしまうなんて、それってちゃんと子どもを保護したことになるんでしょうか。
ただ親から引き離して施設に入れておいただけ…という印象を受けてしまいました。
所長経験者の方の話では、最近建設された新しい一時保護所では、結構個別対応が重視されていたり、明石市の児童相談所では学校と連携して車で子どもを送迎する取り組みも行っているとのこと。
新しい一時保護所は改善されてきている…という話でしたが、これは建物が新しいか古いかは関係ないのでは?と思ってしまいました。
既存の古い一時保護施設でも、子ども一人一人の状況に応じた個別対応を重視することはできるでしょうし、学校と連携して子どもを送迎することもできるのでは?
番組の短い時間では説明しきれないのかもしれませんが、いろいろ疑問が残ります。
尾木ママのコメント
子供の気持ちとてもわかる。なんで被害者が隔離されて加害者が普通に過ごしているのかって。
不公平だ。やっぱり子供はちょっと下に見られてしまっている。
一時保護所は今聞いただけでもすごく難しい問題がある。まだまだだなと思う。
そうですね。本当に問題だらけで、子供の幸せを真剣に考えているとは言い難いです。(つづく)