Eテレで2020年2月22日放送の「ウワサの保護者会」
テーマは「しつけ どうすればいいの?」
※再放送は2月29日(土)午後0時30分~
これは子育て中の全親が知っておくべき内容だと思いました。
- 親子の「良い関係」を強化する
- 良い関係を土台として「良い指示の出し方」を学ぶ
という2つのステップの実践方法が具体的に解説されていました。
子育てに限らず、部下に仕事の指示をする人にも役立ちそうでしたよ。
しつけ?それとも虐待?
親が「しつけ」だと思ってやっていても、人から「それは虐待だ」なんて言われることもあるかと思います。
「親による体罰禁止」が法律に定められ、どういう行為が体罰にあたるのかガイドラインで具体例が示されました。
親の体罰禁止法はいつから? 体罰の内容の線引きは?
この内容を見て、「叩かずにどうやって子供をしつけるの?」と困惑している人もいるでしょう。
番組では「わたしは教えるために叩きます」「そのおかげでどんどん悪い事はしなくなる。それが一番身に付くし、早い。間違いを起こさなくなる」と話すお母さんもいました。
今回のゲスト、精神科医の賀茂登志子さんは次のように話していました。
体罰そのものは即時的な効果はある。その時は言うことを聞く。
でも、不安や恐怖によって言うことを聞かせるため、子供は不安や恐怖がなければ言うことをきかなくていいというのを逆に刷り込まれていくところがある。
親の言うことは聞くけど家の外では言うことを聞かないとか、友達の中でいじめをする側に回るとか、そういうことも起きてくる可能性が高くなる。
でも、こどもにちゃんと育ってほしいという思いから熱くなって手が出てしまう親の気持ちもわかります。
わたしも「子どものために」と熱くなって厳しくしすぎてしまった経験がありますし。
尾木ママはこんな言い方をしていました。
親には「ちゃんと育ってほしい」と言う愛情や強い願いがある。ここは大事にすべき。
でも、違う方法でも実は効果がある。方法論をもっと知ることもいいのかな。
ということで、親も子もハッピーになる「ちょうど良いしつけ」について加茂先生が教えてくださいました。
子育てについて親のタイプは4つ
アメリカの発達心理学の研究によると、子育てについて親は4つのタイプに分けられるそうです。
- 親子の関係に温かみがあるかどうか
- 子どもへの要求を出しているかどうか
それによって、4つのタイプに分かれます。
- 権威(リーダーシップがある)タイプ
- 独裁タイプ
- 許容タイプ
- 関係欠如タイプ
これらの親に育てられた子供を追跡調査すると、思春期・青年期になったときにこのような傾向が見られたそうです。
わたしは長男の中学受験前などは完全に「独裁タイプ」でしたね。
今は「許容タイプ」かな?
厳しくしすぎてしまった反省から、あまりガミガミ言わず自主性のある子に育ってほしいという思いがあるんです。
でも「継続性に欠ける」という指摘には納得。
目指したいのはリーダーシップがある「権威タイプ」の親ですね。
子供は自信があって感情のコントロールも上手になると言うのですから。
では、温かみのある親子関係とはどうやればいいのか?
体罰にならないように子どもへ要求を出してしつけるにはどうすればいいのか?
2つのステップで実践
番組では、あるお母さんが小学校低学年の息子さんと一緒に加茂先生のクリニックに通って効果的なしつけの方法を学んでいました。
加茂先生のやり方は2つのステップで構成されています。
- 親子の「良い関係」を強化する
- 良い関係を土台として「良い指示の出し方」を学ぶ
まずは、親子の「良い関係」を構築すること。
良い関係が強化されてきたら、それを土台として「良い指示の出し方」を学ぶ。
STEP1:「特別な時間」で親子の良い関係を強化
加茂先生のクリニックで受けたのは「PCIT」という親子心理療法です。
「特別な時間」といって、1日5分、子どもと一緒に遊ぶだけなのですが、親の側にルールがあります。
「特別な時間」の間は、親は「don’tスキル」を使ってはいけない。「doスキル」をなるべくたくさん使う、というルールです。
・質問
・批判
・繰り返す
・まねる
・説明する
・楽しく
親が注目する中で子供を好きに遊ばせることが親子の絆を強くするのだそうです。
「特別な時間」については、前にも番組で紹介されていました。
▼詳しくはこちらの記事に書きました。
1日5分で親子関係が良くなる!?ウワサの保護者会「さよなら子育てのイライラ」の感想
このお母さん、以前番組で紹介されていたときよりすごく上手になっています!
特に、お子さんが積み木を口に入れたとき。
普通だったら「汚いよ」「口に入れないで」と注意するところですが、反応せずに黙ってやり過ごしました。
先生にもほめられていました。
「上手ですね。何も批判・質問・命令をせずにお母さんよくスルーしましたよ」って。
子どもが良くない行動をしたときは、怒らずにわざと無視する「無視のスキル」。
口に積み木を入れることをやめて遊びに戻ったときにすかさず声掛けすると、反対の「良い行動をほめる」と言うスキルになるそうです。
これによって、子どもが自分から良くない行動をやめるように仕向けていくわけです。
実践したお母さんの感想が印象的でした。
積み木を口にくわえたとき、注意したくてしょうがなかったのを抑えることが自分のトレーニングになったので、自分が変わる5分間だった。
ただ5分一緒に遊ぶだけと「特別な時間」は違うものだった。
「特別な時間」で親子の良い関係を強化することがまず1つ目のステップ。
親子の良い関係が強化できたら、それを土台として次のステップへ進みます。
STEP2:「良い指示の出し方」を学ぶ
2つ目のステップは「良い指示の出し方」を学ぶことです。
ここから「しつけ」の段階に入ります。
効果的な指示の出し方には8つのルールがあります。
- 間接的よりも直接的
- 指示は肯定的に
- 指示は1回に1つだけ
- 具体的に
- 子どもの年齢にあわせる
- 礼儀正しい言い方で
- 理由は指示の直前か直後に
- 必要なときだけ
「①間接的よりも直接的」は、たとえば「~してくれない?」ではなく「してください」。
「②指示は肯定的に」というのは、たとえば「~はダメ」ではなく「~してください」という言い方です。
8つもルールがあるので覚えて使いこなすのはちょっと大変ですが、これを子どもとの遊びの中で練習しながら日常生活でも実践していくようにするんです。
ステップ1の「特別な時間」では「指示・命令」はdon’tスキルとして禁止されていましたが、ステップ1を終えて良い関係が強化された後は、遊びの中に「指示」を入れていくとうことですね。
2つのステップの効果は?
番組では、この8つのルールを練習したお母さんの家を1週間後に訪問していました。
ガミガミ叱りつけていた低学年の息子さんとの関係はどうなったのか…?
おやつの後、
母「ゴミをここに入れてください」
子(すぐ入れる)
母「全部入れてくれてありがとう」
母「飲み終わったコップを片付けてください。お願いします」
子(ササっと動いて片付ける)
母「すぐやってくれてありがとう」
子どもがゲームをしているとき
母「一緒に洗濯物たたむのを手伝ってください」
子「うん」
母「ありがとう」
なんでこんなに素直に言うことを聞いてくれるの?
お子さんいわく
「指示するのがやさしいからやりたくなる」
「お母さんがお礼を言うからもっとやりたくなる」
だって!!
親子心理療法に通っていたのは、この低学年の息子さんとお母さんだけなのですが、なぜか小4のお兄ちゃんにまで変化が。
兄「お風呂どうする?」
母「洗ってくれる…?もしかして」
兄「えー、いいよー」
母「いいの?ほんとに?」
これにはお母さん、ビックリしていました。
「お風呂どうする?」って、自分からお風呂洗おうか?みたいな感じで話しかけてきてますものね。
番組スタッフさんが「なんでいまお風呂を洗ってくれたの?」と質問すると
「お母さんが変わったから」「うれしい。変わってくれて」
「自分も少し変わらなきゃいけないなと思う」
小4の子どもがこんな風に考えているんですね。
なんか、じーんときてしまいました。
親が変われば子どもも変わる
何度言ってもやらない。言うことをきかない…と子どもにイライラしてしまうことも多いですが、この番組を見て感じたのは、「子どもを変えたいなら、まず自分自身が変わらないといけない」ということです。
さっきのお兄ちゃんも言ってましたもんね。
お母さんが変わったから自分も変わらなきゃいけないなと思ったって。
このお母さんも、毎日おだやかにうまく行ってるわけではなく、やはり怒鳴ってしまうこともまだあるそうです。
でも、doスキルやdon’tスキル、そして8つのルールをまったく知らずに子どもと関わるのと、知識として持っていて関わるのとではちがう、と話していました。
確かに、これを学んだからといって急に完璧に使いこなせるわけではないですよね。
でも、叩いたり脅したりして言うことをきかせる方法しか知らなくて、子どもをしつけるにはそうするしかないんだ、これが正しいことなんだ、と信じている状態とはまったくちがうだろうと思います。
番組の冒頭で「わたしは教えるために叩きます」と話していた別のお母さんが、最後には考えを変えて少し後悔しておられる様子だったのが印象的でした。
自分が今までどれだけ勝手な指示や要求を子供にしていたかというのを感じて、かわいそうなことをしたと思った。
いま子供が思春期になって自分の部屋でボールを強く壁にぶつけてストレス発散していることがよくある。
子供は納得していないから、わたしに言えないけど部屋でそうやってるんだなと思うと、わたしは間違ってたかなと思った。
子どもが中学生でもまだ間に合う?
中学生からでもまだ間に合いますか?という質問に対して、尾木ママや加茂先生は「間に合いますよ」「子育てに手遅れはない」と力強く答えておられました。
ステップ1の「特別な時間」は、ブロックや積み木で5分間遊ぶというやり方なので小さな子どもとしか実践できないように思いますよね。
でも、小学校高学年や中学生の子の場合は、他の場面でdoスキルやdon’tスキルを意識すると良いそうです。
たとえば食事中や、塾の送り迎えの際など。
会話の中で「命令・質問・批判」はしない。
ほめたり、相手の言うことを繰り返したりして楽しく会話しよう…と心がける時間をつくると親子の関係が良くなっていきそうですね。
わたしも実は前回の放送を見てから、中学生の息子と話すときになるべくdon’tスキルを使わないように、doスキルを使おうと意識しています。
イライラを爆発させたり嫌味を言ってしまうことも減り、息子との関係は良くなってきているのでは…と感じます。
ただ、今は4つの親のタイプのうち「許容タイプ」になっているので、「権威タイプ・リーダーシップのあるタイプ」を目指して「効果的な指示の出し方」の方も実践してみようと思います。
▼待ってました!賀茂登志子先生がPCITの本を出されました。
▼プログラミング的思考やSTEAM教育を取り入れた新しい通信教育。これは楽しいです!
アプリとキットの教材ワンダーボックスの口コミ体験談|兄弟で入会した感想