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2022年度より小学校の教科担任制を本格導入!どんな効果があるの?

小学校 教科担任制

小学校でも、中学校のように教科ごとの担任になるという報道を見かけました。

これって子供たちにとって良いことなの?

すでに教科担任制を取り入れている小学校もあるようですが、どのような効果が出ているのでしょうか?調べてみました。

2022年度より文部科学省が進めようとしている小学校の教科担任制とは

小学校の教科担任制については、2019年の4月に文部科学大臣が検討を進めるよう指示を出し、10月末現在、専門家たちが検討を進めているところです。
⇒2019年12月13日に方針がまとまりました。

最新の情報はこちらにあります。


参考
新しい時代の初等中等教育の在り方 論点取りまとめ(案)文部科学省

中央教育審議会初等中等教育分科会
2019年12月13日に開催された(第124回)会合の資料です。
※教科担任制については9ページに詳細があります。

この資料から、小学校の教科担任制について主なポイントを紹介します。

  • 2022年度をめどに小学校高学年から本格的に導入すべき
  • 教員定数の確保、教員の養成、専門性の高い教員の配置、免許制度についても検討する
  • 小学校高学年以降の専門性の高い教育を見据える
  • そのために小学校中学年までに基礎学力を確実に習得させる(ICT技術を使って習得状況を把握する)

小学校の低学年や中学年はこれまでどおりクラスごとの担任制。
「小学校高学年」から教科担任制を進めて専門性の高い教育を実施するということですね。

なぜ小学校で教科担任制を推進するの?メリットは?

国はなぜ小学校高学年から教科担任制を推進しようとしているのでしょう?

2020年度の教育改革への対応

2020年度から小学校5、6年生は英語が「教科」に格上げされて文法も含めた勉強が始まります。
これまでは「英語に慣れ親しむ」という感じの授業だったのが、「正式な教科」となり成績がつくようになります。

また、プログラミング教育が必修化されます。
こちらは何年生からとは決まっていませんし、「プログラミング」という教科が新設されるわけではありません。
誤解している人が多いようですが、パソコンを操作して専門的なコードを書いていくような学習でもありません。
プログラムを作成するときに必要な論理的な考え方(プログラミング的思考)を学ぶそうです。

プログラミング教育必修化 いつからプログラミング教育必修化はいつから? 小学校何年生で何を学ぶの?

これまで教えていなかった「英語」を教科としてきちんと教えること、プログラミング的思考を育むこと、どちらも小学校の先生にとって急激な負担増となりますよね。
先生だって、しっかり教えるためには勉強しておかなければいけませんし。

あれもこれもやることが多すぎて準備する時間がない!となれば、子どもたちが質の低い授業を受けることになってしまいます。

これを「教科担任制」にすれば、1つひとつの教科についてそれぞれの先生がしっかりと準備できるようになり、子どもたちが質の高い授業を受けられるというわけです。

でも、2020年度からプログラミング教育と英語が始まるのに教科担任制は2022年度から。この2年間は混乱しそうな…

教科担任制を先に導入した方が良かったのでは?という気もしますが、今言っても仕方ないことですね。

先生の過重労働を軽減できる

小学校の先生は、現在でもすでに過重労働が問題になっています。
2016年の調査によると、小学校の先生の9割が「授業の準備をする時間が足りない」と答えているそうです。
行事の準備、報告書の作成、保護者からの問い合わせ対応など、授業以外の仕事が多すぎるのだとか。

確かに、学校の先生はいつも遅い時間まで学校にいらっしゃるイメージです。

体を壊して辞めてしまう先生も多いし、このままだと先生が足りなくて教育の質がどんどん落ちていくのではと不安です。

こうした中、今まで何教科も授業準備をしなければならなかったのが、1教科だけで済むようになれば、先生方の労働時間もかなり短縮されるのではないでしょうか。

先生の指導力による差をカバーできる

入ったばかりの若い先生とベテランの先生では指導力に大きな差が出てしまうのは仕方がないことです。
授業の質もそうですし、いじめへの対処などもそうです。

小学校の場合、全部の教科を担任の先生が教えますから、クラスによって学力の面でも学校生活の面でも大きな差ができてしまうんです。

これは良くないですよね。

教科担任制にすると複数の先生が1つのクラスに関わることになりますから、先生の指導力によるムラが出にくくなります。

担任の先生と相性が悪くても逃げ場がある

小学校では担任の先生とウマが合わない場合、もう逃げ場がなくて毎日最悪な学校生活になってしまいます。
担任の先生が嫌で不登校になってしまう子もいますよね。

教科担任制になれば、さまざまな先生と接点ができるため、子どもにとって逃げ場ができるのではないでしょうか。




すでに教科担任制を導入している小学校では

国の方針としての「教科担任制の推進」はまだ検討の段階ですが、すでに教科担任制を取り入れている小学校もあるんですよ。

すでに教科担任制を導入している学校では、どのような良い変化があったのか、導入にあたって問題は生じなかったのかなど、気になりますよね。

2002年度から、高学年において教科担任制を実施している埼玉県新座市の片山小学校の資料を見つけたので、紹介します。


参考
教科担任制に関するQ&A

教科担任制の問題点は?

  • 担任が子どもと接する時間が限られる(子どもが発熱で早退するときに担任が声をかけられないこともあった)
  • 時間割の柔軟な変更が難しい(プールの時期、運動会前など)
  • 宿題の出し方などが各教科バラバラでは学習に支障が出るので共通理解が必要

工夫したことは?

  • 毎週水曜日の6時間目は、5-6年の全学級が書写の時間(低学年の教師が指導)とし、担任会議の時間を確保した。
  • 週1回の担任会議で連絡調整をこまめに行うことにより、共通理解を深めて指導ができるようになった。

教科担任制を導入して良かったことは?

  • じっくり教材研究できる
  • 複数のクラスで授業をするため日常的に指導の工夫をおこなうことができる
  • 授業準備の効率化
  • 複数の目で指導にあたるため生徒一人ひとりのよさを多面的にとらえることができる
  • 問題行動などを担任が一人で抱え込むことがない

保護者からは当初「担任とのふれあいが少なくなるのではないか」と心配する声も上がっていたそうですが、結果的には保護者や子どもたちには教科担任制は好評だったとのこと。

軌道にのるまでは時間調整や先生の間の情報共有が大変そうですが、子どもたちにとってはよい影響が期待できそうですね!

教科担任制よりさらに進んで、こちらの記事のように「全員担任制」を導入している学校もあるんですよ。