組体操の事故に関する裁判例まとめ

組体操 事故 裁判例

組体操の事故に関する裁判例をまとめました。

ほかにもありましたら、コメント欄にてお知らせいただけると助かります。
(参照リンクなど詳細がわかるものをつけていただけるとありがたいです)

組体操事故に関する裁判例

広島大学付属三原中学校における組体操事故の裁判

2016年6月
運動会で行った組体操で、3段編成の騎馬(移動ピラミッド)を組んだまま歩いて退場する際、騎馬が崩れた。
男子生徒は2段目だった。

運動会後、「上の子の足があたって頭がくらくらして痛かった」と話していたが、2日後の未明に体調が急変し、頭痛や吐き気を訴えて死亡
CTスキャン画像から、小脳出血などと診断された。
「小脳出欠が広範囲に及び、小脳から離れた位置でもくも膜下血腫が見られ、後頭部に強い衝撃を受けた可能性が高い」との医師の意見書が提出されている。

学校側は「騎馬は崩れておらず無事に解体した」と反論。

裁判
2017年11月1日
男子生徒の遺族が国立大学法人を相手に約9600万円の賠償を求め提訴(裁判中)
参考 2016年広島移動ピラミッド死亡事故を検証する

東京都世田谷区立武蔵丘小学校における組体操事故の裁判

2014年4月
当時6年生だった男子生徒が組体操の「倒立」を2人組で練習していた際に、頭と背中を床に打ち付けた。
視覚異常や頭痛、ふらつきが出て一人では歩けない状態になり、1年ほどは車いす生活だった。
事故の4ヵ月後に「脳脊髄液減少症」と診断された。激しい頭痛などが起こり、事故から3年たった2017年の時点でも後遺症に悩まされている。

裁判
2017年12月に和解が成立。
世田谷区が事故後の対応の不十分さを認めた上で「遺憾と謝罪の意」を示し、賠償金として1000万円を支払う
再発防止策として、体操を行う場合は指導者が事前に実技研修を受けることなどが盛り込まれた。
参考 世田谷区小6男子・組体操事故 3年後も後遺症 「息子はきのうも倒れた」 参考 組み体操事故 東京・世田谷区が賠償金 生徒側と和解

名古屋市立小学校における組体操事故の裁判

2007年9月20日
組体操の練習中に男子児童が4段ピラミッドの最上段から落下。左上腕骨外顆骨折

裁判
2008年12月25日
名古屋地裁が名古屋市に110万円の支払いを命じた。

福岡県北九州市の県立八幡中央高校における組体操事故の裁判

2006年8月31日
柔道場で組体操の自主練習中、2年生の男子生徒が同級生に肩車をしてもらった際にバランスを崩して後ろに転落。首を骨折した。
胸から下が麻痺し、障害者手帳1級の交付を受けた。

裁判
2011年4月26日
福岡地裁小倉支部は福岡県に約622万円の支払いを命じた。

東京都中央区の区立常盤小学校における組体操事故の裁判

2003年5月19日
講堂で組体操の練習中に女子児童が転落して前歯を損傷
土台約2名の児童の上に立ち、左右から倒立してくる2人の児童の足をつかむ役だったがバランスを崩して床に転落。

裁判
2006年8月1日
東京地裁は東京都中央区に166万円の支払いを命じた。

和歌山市の公立小学校における組体操事故の裁判

1993年
組体操の練習において、小学6年生の体重44kgの女児が体重74kgの同級生とペアを組まされて以降、腰痛を患うようになった。成人後も通院が続いた。

裁判
2006年12月
和歌山地裁は学校の過失を認め、和歌山市に約400万円の支払いを命じた。
参考 組体操・人間ピラミッドの危険性。過去の事例から

神奈川県相模原市立鵜野森中学校における組体操事故の裁判

1990年
組体操の練習中、「人間タワー」が崩れ、3年生男子生徒が首を強打。搬送先の病院で死亡
人間タワーは選抜された19人の生徒によって作られ、1段目10人、2段目5人、3段目3人、4段目1人。男子生徒は2段目担当だった。

裁判
1993年1月
遺族が相模原市に対して約7000万円の損害賠償請求。1995年3月に和解。
参考 ページタイトル2016年広島移動ピラミッド死亡事故を検証する

福岡県立早良高校における組体操事故の裁判

1990年
組体操の8段ピラミッド練習中にピラミッドが崩れ、最下段の中心部にいた3年生男子生徒が頚椎骨折。
以降、全身麻痺の寝たきり状態(身体障害者1級認定)

裁判
平成5年1月22日 福岡地裁
約1億3000万円の支払いを命じる。→福岡県側は控訴。

平成6年12月22日 福岡高裁
一審判決をほぼ支持し、学校側に過失があると再び認め結審した。

学校の代わりに自治体が責任を負う仕組み

公立の学校の場合は国賠請求訴訟という形で、各自治体が被告になります。
私立の学校の場合は、学校法人が被告になります。

責任を問われるのは学校の先生や校長先生であるはずですが、公立の場合、責任を負わされるのは自治体なのです。
これは、国家賠償法1条によって、「公務員がその職務を遂行する際に、過失によって他人が損害を受けたときには、国や自治体がその賠償責任を負う」と規定されているからです。

安全に配慮しないまま組体操をやらせたのは学校の先生や校長先生なのに、先生たちは痛い目にあわず、かわりに自治体が数百万、数千万の賠償金を支払うというのは納得が行かないところです。
自治体が支払うお金は税金から出ているのですから。

これだけリスクが高いと言われ、廃止を求める声が出ているのに学校が組体操の実施を強行できるのは、万一事故が起きても結局自分たちは痛い目にあわないからではないか・・・と考えてしまいます。

先生個人や校長個人に責任をとってもらいたい

ただ、先ほどの国家賠償法には例外があり、「教師に故意あるいは重大な過失がある場合には自治体は教師に対して求償できる」ことになっています。
求償とは、肩代わりした賠償金を教師個人に請求することです。

組体操の事故については、自治体が教師個人に求償をおこなった例を見つけることができませんでしたが、学校で起きた「熱中症」の事件についてはこのような例があります。

参考 熱中症放置 教員個人が賠償金支払い 部活動指導の事故 異例の重過失認定へ

大分県立竹田高校の剣道部の部活中に高校生が熱中症で倒れ、顧問教師が適切な救護をしなかったために死亡した事件です。

この事件では、大分県から約4600万円の損害賠償を勝ち取った後、ご両親が教師個人の責任を問うために、大分県を相手に住民訴訟を起こしたのです。
「大分県が、顧問教員に対して求償権の行使を怠っている」という訴えです。
2016年12月22日、大分地裁は、この顧問に重大な過失があったとして、両親への賠償金のうち100万円を顧問教師に請求するよう大分県に命じました。(大分県は控訴)

少し前に、組体操をやめさせない神戸市教育委員会に対し、神戸市長が「組体操をやめるように」とツイッターで呼びかけてました。
危険だからやめるようにと注意しているにもかかわらず組体操を強行する学校の校長や教師に対しては、事故が起きた際に自治体がどんどん求償をおこなっていけばよいのではないでしょうか?

また、保護者として、自治体ではなく先生個人、校長個人に責任をとってもらいたいという場合は、「求償権の行使を求める住民訴訟」という方法があることも覚えておきたいと思いました。

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