Eテレで2019年11月9日放送の「ウワサの保護者会」
テーマは「誰もが過ごしやすい教室」
※再放送は11月16日(土)午後0時30分~
発達障害を持つ子が、学校の先生にどう対応してもらいたかったか、どんな対応がありがたかったかという話でした。
落ち着くために逃げたのだから追いかけないで
番組の中で一番印象に残ったのは、自閉スペクトラム症とADHDの診断を受けているという男の子「ゆづきくん」の言葉です。
ゆづき君は小学校低学年のとき、教室からよく逃げ出していました。
周囲のからかいから身を守るためだったといいます。
「そんなとき先生にどうしてほしかったか?」という問いに対してゆづき君の回答は、
逃げちゃった時はとりあえず追いかけないでほしい。
その場で追いかけられると、こっちとしては逃げて何もなくして落ち着くという行動をしたいから逃げているのに…。そこで誰かに来られると困る。
実はうちの次男がよくこういう行動をします。
学校ではやっていないようですが、家では兄弟からのちょっとしたからかいの言葉でカッとなったりパニックを起こしてリビングを飛び出し、二階の部屋にこもってしまいます。
なだめたりしても無駄だし、そういうときは会話にもならないから、もう放っておくしかないのですが、1時間くらいすると何事もなかったように戻ってきます。
おばあちゃんの家で親戚が集まっているような場でもやってしまいます。
そういうときは、いろんな人が様子を見に行ってなんとかなだめようと試みてくれるのですが、どうにもなりません。
そういえば、次男はとにかく自分の部屋をほしがりました。
長男も自分の部屋をほしがったけど、部屋を作ってやったらただの物置きみたいになって全然使わなかったのに対し、次男はベッドを入れてほしいと言って一人で寝ているし、ものを整理して快適に過ごせるように部屋を整えています。
自分だけの落ち着ける空間が必要だったのかもしれません。
安全な場所を作っておき、いつでも使っていいと伝える
子どもがパニックを起こして逃げ出したとき、追いかけないのが正解ということはわかったのですが、次男の場合、まれに外へ出て行ってしまうこともあり、そういうときは本当に困ります。
もちろん追いかけて探して、そんなことをしてはいけないときつく叱るのですが、今回番組を見て1つヒントが得られました。
岐阜県希望ヶ丘こども医療福祉センター
児童福祉精神科医の高岡健さんのコメントです。
逃げてもどこへ行くかさえちゃんと把握できていれば先生は安心できるし、責任を追及されることも少ない。
最初から安全な場所を作って提供しておくことが1番大事。
その場所はいつでも自由に使っていいんだと言うことを最初から伝えておく。
行くときには快く送り出して、帰ってきたときには大歓迎する。
それが決まっていれば逃げ出しても全然問題ないし役立つことが非常に多い。
最初から安全な場所を用意しておいて、「一人になりたいときはここを使っていいよ」と伝えておけばいいんですね。
家だったら、2階に自分の部屋があるからそれでOKですね。
おばあちゃんの家で過ごす時も、「一人になりたいときはこの部屋を使えばいいよ。外へ飛び出すのだけはやめてね」と伝えておけばいいのかもしれません。
特別扱いではなく、みんなに対して
ある保護者の方の話も印象的でした。
娘さんが運動会で感情がたかぶり、少し泣いてしまったとき、クラスの子たちがそれに気づき、パッとみんなで前を向いたのだそうです。
これは、かまわないようにして、涙をこらえる時間をみんなが待ってくれたということ。
「先生!〇〇ちゃん泣いてるよ」とか、「どうしたの?」とか言われると、その子はどんどん泣いてしまう。
担任の先生が日ごろから正しい接し方をしてくれて、クラスのみんながそれをみて学んでくれたのだと保護者の方は感動していました。
でも先生は「何も特別なことはしていない。みんなにそうしている」とおっしゃるのだそうです。
尾木ママのコメント
短時間しか集中できない子がいて、その子のために授業を15分で刻んで、途中で雑談タイムを挟み、また授業というやり方をしていた。
その子のためにやっていたのだが、結果的にクラス全体の意欲や成績が跳ね上がった。
発達障害があってもなくても、泣きそうになっているときに注目されたりかまわれたりするとイヤだし、長時間授業に集中するのはしんどいですよね。
その子だけ特別扱いするということではなく、みんなに対して苦手なことを補えるような配慮をすると、結果的にクラス全体に良い影響が出てくる。
たまたまきっかけが発達障害の子への配慮だったというだけなのかな?と感じました。
授業中に歩き回っても良い「学びあい」
番組では、東京都渋谷区の千駄ヶ谷小学校3年生のクラスが紹介されていました。
算数の授業風景です。
先生が問題を出すとみんなノートに解き始め、解けたら教室内をウロウロ歩き回ります。
そして、自分がどうやって問題を解いたかを他の子に教えるのです。
子供達どうしで教え合う「学び合い」という取り組みだそうです。
この方法で、配慮が必要な子も授業に参加しやすくなったのだといいます。
担任の先生のコメント
じっとしていられない子はずっと話を聞いていることもつらい。
動いて良いというスタイルがフィットしているようだ。
計算や漢字が苦手な子は今まで取り残されていた。
何もせずに1時間ずっと分からず取り残されていた。
今のスタイルだとわからないことは友達に親切に教えてもらえる。
子供の言葉で教えられるからストンと腑に落ちるらしい。
その子は今自分でできるようになって自分から人に教えに行けるようになった。
教える方の子どもも、相手にわかりやすく説明するためにどう伝えれば良いか考えるため理解が深まる。
これもまさに、配慮が必要な子のための取り組みが、ほかの子にも良い影響を与えているわけですね。
以前見た「ウワサの保護者会」で、特別支援学級出身の校長先生が学校を改革した話がありましたが、それもこういうことなのかな…と思いました。