以前から気になっていた中学受験マンガ「二月の勝者-絶対合格の教室」を11巻まで一気読みしました。
口コミでは「ものすごくリアル」「中学受験を少しでも検討している親は必読」などとありましたが、本当にそのとおりだと思いました。
- 近年の中学受験事情が詳しくわかる
- 中学受験の金銭事情がわかる
- 起こりうる問題がわかり親として心構えができる
- ストーリーが面白い
それだけでなく、名言がたくさん出てきます。
中にはとても刺激的なものも!
特に印象的だったものをまとめてご紹介します。
※なるべく気をつけますが、多少ネタバレありますのでご注意ください。
「二月の勝者」1巻の名言
君たちが合格できたのは、父親の経済力、そして母親の狂気
「自分は天才」とでも思っているのか?
カン違いも甚だしい。
君たちが合格できたのは、父親の「経済力」、そして母親の「狂気」
ゾクッとしますね。
これ、第1巻の冒頭です。
埼玉や千葉、兵庫など地方の最難関校を1月に合格し、いよいよ二月の都内最難関校の受験を目前にした生徒たちに向かって、主人公のカリスマ塾講師 黒木先生が檄を飛ばしている場面です。
150万円。6年生の生徒が1年間に塾に落とす金額です
雪の中、傘もささずに受験生の応援のため試験会場前に立っていた黒木先生を「すごいと思った」という新任講師に対して、この返事です。
仕事ですから。
150万円。
6年生の生徒が1年間に塾に落とす金額です。
それを考えると雪をかぶることくらい。
ここは子供の将来を売る場所です
お金の話?
子供の将来のためにやっているんですよね?…という問いに対して
そうですね。
ここ(受験塾)は「子供の将来」を売る場所です。
すごい言い方です。
さらにこの後、塾で実施されるオープンテスト(外部からも受験できる模擬試験)について
「新規顧客」獲得のチャンスです。
金脈を獲りに行きますよ。
冷血な金の亡者のようですが、この漫画、親の立場で読んでも不快にならないのが不思議なところ。
営利企業としてしっかりお金はいただくけれど、絶対全員合格させると断言する黒木先生。
受験塾ってここまでしてくれるのか!という部分や、親の気持ちに寄り添う場面などもしっかり描かれているからでしょうね。
凡人こそ中学受験をすべきなんです
凡人こそ、中学受験をすべきなんです
今はサッカーチームに入ってレギュラー入りできたのだから、それを中断して中学受験なんてさせるべきではない。勉強の方も平凡なのだから…と反対しているお父さんを説得するときの黒木先生の言葉です。
さらにこの後、凡人こそ中学受験をすべき理由を数字で示していきます。
サッカーをがんばっている子がプロになれる確率は約0.21%。
一方、中学受験をする子が御三家に受かる可能性は2.58%。
憧れの難関校くらいまで入れると10%弱。
そして、
スポーツや芸術など才能が物を言う分野は本当に厳しい。
まだ、勉強のほうが努力のリターンを得やすい
これは確かにそのとおりですね。
Rクラスはお客さん。とりあえず通って授業料さえ落としてくれればいい
そんなに気合入れなくていいですよ。
Rクラス(塾内の最下位クラス)はお客さんですから。
これは、6年生のRクラスを任されて張り切っている新任講師に向けた黒木先生の言葉。
「お客さん」って…?
「とりあえず通って授業料さえ落としてくれればいい」という生徒です。
夢を見させ続けつつ、生かさず殺さず、お金をコンスタントに入れる「お客さん」として、Rクラスには「楽しくお勉強」させてください。
そんな身もふたもない言い方…と思ってしまいますが、大手塾に通った(通わせた)経験のある人なら、まあ納得ですよね。
上位クラスに行くほど、すごい先生が熱のこもった授業をしてくれて、下位クラスに行くほど・・・
「楽しくお勉強」させてくれるならまだいい方かも。
他に好きなことがある子ほど受験をやめなくていいんですよ
Rクラスで授業について行けず、毎日窓から電車をながめている男の子が塾を辞めたいと言い出しました。
この男の子、鉄道が大好きな様子。
「勉強に身が入らないほどの好きなことを我慢してまで、向いてないこと、辛いことを続ける必要があるんですか?」と問いかける新任講師に対する言葉です。
他に好きなことがある子ほど、受験をやめなくていいんですよ。
この後の黒木先生の説得は鮮やかでした!
鉄道好きの子が目を輝かせてやる気になっていくところは、わたしの大好きな場面です。
「二月の勝者」2巻の名言
夫婦の意見が一致していないと中学受験は失敗します
夫婦の意見が一致していないと中学受験は失敗します。
これは女性講師の桂先生の言葉。
こんなに費用をかけて合格しなかったらどうするの?と、夫が春期講習の受講を許してくれないのだと相談してきた母親に対するものです。
この夫、ゲームが大好きで、子供にも「ママには内緒だぞ」とこっそりスマホでゲームをさせたり、「そんなにがんばりすぎなくても」と甘やかして子供の人気取りをするんです。
桂先生は、「子供の前では、受験を応援しているというスタンスだけは統一してください」と話します。
子どもに課金してクソ強いキャラに育てようとして何が悪い
この後、この夫婦は大ゲンカして、夫にこう啖呵を切ります。
子どもに課金してクソ強いキャラに育てようとして何が悪い。
どんな敵でもラスボスでも倒せる強い武器もたせたいんだよ。
課金ゲー上等!!
冒頭でも「君たちが合格できたのは父親の経済力」という言葉が出てきましたが、中学受験はお金が物を言う世界なんですよね。
黒木先生もこのように言っています。
塾講師は「教育者」ではなく「サービス業」です。
このシステム、お金をかけた者が圧倒的有利
大学を目的地とした場合、
中学受験は特急券です。
我々は特急券を買うお手伝いをするわけです。
しかしこの特急券、ただ買うだけでは意味がありません。
自由席では確実に席に座れるとは限りませんよね。
もうここまでで察しが付くと思いますが、そうですこのシステム、お金をかけた者が圧倒的有利。
こんなシステムで成り立っている職業のどこが「教育者」ですか?
ここで座席指定券を買うことに躊躇するようではダメなんです。
絶対に合格させるためにはその覚悟を持たせないとならない。
毎月の月謝のほかに、春期講習、夏期講習、勉強合宿、志望校別講習などなど、オプションがたくさんあって、任意とはいえ実際にはほぼ全員に参加してもらうよう講師にはノルマが課せられています。
で、これらすべてひっくるめて6年生が1年間に塾に支払う金額が平均150万円。
黒木先生は、絶対に合格させるためにはオプションの申し込みを躊躇させるな、と言っているんですね。
「二月の勝者」3巻の名言
お子さんにはどんな大人になって欲しいですか?
お子さんにはどんな大人になって欲しいですか?
いい学校に入っていい会社に就職して欲しい、それだけですか?
私立中高の学費、6年間で500万円前後のお金をかけて、手に入れたいのは学歴だけですか?
これは桂先生の言葉です。
「いい大学に進んでほしい」という目的だけだと、志望校を選ぶときに基準が偏差値だけになりがちです。
でも、その選び方では後悔することになるかも…
入ってから「自分と合わない」って思いながら過ごす6年なんて、絶対避けてあげたいもの。
偏差値や知名度だけでなく、校風や特色、何に力を入れているかといったことも考慮して、その子に合った学校を選ぶのが理想的ということですね。
4巻以降の名言は次の記事で紹介します。