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プログラミング教育の先進校・先進自治体の事例。「学びあい」がカギ?

プログラミング教育 先進事例

2020年度から小学校でプログラミング教育が必修化されます。
すでにプログラミング教育を開始している先進校・先進自治体ではどのような体制でどのような授業をおこなっているのでしょうか?

プログラミング教育先進校「京陽小学校」の事例

2014年度からプログラミングを活用した学習に取り組んでいる品川区立京陽小学校。
プログラミング教育の第一人者である青山学院大学の阿部和広客員教授@abee2 )が京陽小学校のサポートをしておられたようです。

▼阿部和広先生の著書

使用しているのは「ラズベリーパイ」というコンピュータを1人1台。
そして、「scratch(スクラッチ)」という子供向けのプログラミングアプリです。

「ラズベリーパイ」はとてもシンプルで安く手に入るコンピュータで、ディスプレイとキーボードにつなげば、普通のパソコンと同じように使えます。

6年生が1年生にマンツーマンで教える

品川区立京陽小学校のプログラミングの授業の様子はこちらのサイトで詳しく紹介されています。

参考 先進校の事例に学ぶ「プログラミング教育」新時代到来!

なんと、6年生が1年生にマンツーマンでプログラミングを教えるという授業なのですが、とにかく「すごい」の一言です。

すごいといっても、プログラミング技術が高度とかそういうことではないですよ。

教え方について指導計画を作ったり、1年生役を立ててロールプレイしてみたり、1年生が楽しみながら学べるように試行錯誤を重ねているんです。

教えるプログラムは、車を走らせるゲーム、足し算ゲーム、アニメーションなど1人ずつバラバラ。
というのも、ペアを組む1年生に「どんなプログラムをつくりたい?」と事前に聞いて、6年生がその子のためにオリジナルのプログラムを作っているんです。
「1年生が喜んでくれること」「1年生が30分でつくれること」などを目標に作ったのだとか。

すごくないですか?

もちろん、6年生の中にもプログラミングが苦手な子もいたようですが、「1年生に教えるんだから」と全員が奮起して熱心にプログラミングの勉強をするようになったのだそうです。
休み時間にパソコン教室で自習したり、得意な子が苦手な子にアドバイスしたり。

京陽小学校では、プログラミングが得意な子を「プログラミング・アドバイザー」に任命しています。
わからないことがあるときは、先生に聞くよりまずプログラミング・アドバイザーに質問するよう徹底されているのだとか。

京陽小学校の先生の声

プログラミングを取り入れることによって児童の意欲が高まったり、言語能力の大きな向上が見られるようになってくると、学習を深めるための手段として有効であることが実感できました。

私は昨年からプログラミング教育を始めたばかりですが、私よりも子供の方がよっぽど詳しい(笑)。子供たちからたくさん教わっています。

プログラミング教育先進校「前原小学校」

2016年度から、タブレットなどを活用したプログラミング教育を積極的に実践している東京都の小金井市立前原小学校。

校長の松田孝先生は、プログラミング教育やICT教育をけん引してきた第一人者として有名な方のようです。

▼松田孝先生の著書

前原小学校では、1人1台のタブレット(dynabook Tab)と、衝撃に強く持ち運びに便利なEVAケースを使用しています。

▼EVAケース

プログラミングアプリは「Viscuit(ビスケット)」「Scratch(スクラッチ)」
いずれもビジュアルプログラミング言語と呼ばれ、コードがわからなくても視覚的にプログラムを作成できるものです。

こちらの記事でも紹介しました。
子供 プログラミングアプリ 無料 PCPC・タブレットで使える!子供用無料プログラミングアプリ4選

Viscuitで作成した動画を学習発表会の背景に

前原小学校のプログラミング授業の様子は、こちらのサイトで詳しく紹介されています。

参考 楽しく学べる 松田式プログラミング学習帳

2年生が学習発表会で「スイミー」の朗読劇を演じた際に、背景に映す動画を「Viscuit」で作成したそうです。
タブレットの画面に指で直接子どもたちがウナギやエビなどのキャラクターを描き、プログラムで動きをつけたものです。

アンプラグド教材「PETS」

そのほか、「PETS」というプログラム学習用のロボットも使用しています。
パソコンやタブレットを使わずにプログラミングを学べるアンプラグド(コンピュータ不要)の教材です。
乗り物の背中部分に方向を指示するブロックを挿し込んで動かします。

▼こちらの動画でPETSを動かしている様子が見られます。

ブロック1つ1つが命令で、障害物をよけながらゴールまで行くにはどのようにブロックを組み合わせて挿し込んでいけばよいか…ということですね。

前原小学校の先生の声

苦労したのは「準備の大変さ」。アプリケーションの安定した動作環境やネット環境などに対するトラブル対処だそうです。
トラブルの際に子どもたちが慌ててしまい「先生、何これ?」の嵐になってしまうのですが、この解決策が…

『ミニ先生』を積極的に増やしました。どの学習でもそうですが、特に低学年の子にとって『ミニ先生』という言葉はプレミアムなものです。

『あなたはもう大丈夫だから他の人に教えてあげて』と言うと、『分からないことは私に聞いて』と自らミニ先生役を引き受けてくれます」。

授業後半になるとミニ先生は5~6人に増え、それにつれて授業はスムーズになっていきました。

プログラミング教育先進自治体「佐賀県武雄市」

2014年からプログラミングの授業を取り入れている佐賀県武雄市。
1年生と2年生は小学校の先生が授業を行い、3年生は「ディー・エヌ・エー」のエンジニアのサポートを受けながら授業を行っています。

支援員が授業をサポート

佐賀県武雄市のプログラミング教育の様子はこちらのサイトで詳しく紹介されています。

参考 プログラミング先進地、武雄はここまでやる。公立小学校でいったいどこまでやれるのか東洋経済オンライン

この記事では武雄市の山内西小学校の事例が紹介されていました。

この小学校には7人の支援員がいて、月1~2回、プログラミングの授業の際に学校の先生のサポートをしているそうです。

支援員はパートや教員を定年退職した人など。
先生はその日のプログラミング授業の目的や内容を子どもたちに話し、支援員はパソコンやタブレットの電源がつかない子や、先生の指示した画面になっていない子のサポートをします。

何十回挑戦してもロボットがうまく動かなくて、授業後のアンケートに「もういいです。うんざりです」と書いていた子が、支援員に教えてもらってついにできるようになったとき、このような感想を書いています。

ロボットが動いても止まらなかったけど、今日は◯◯さんが教えてくれたのでできました。うれしかったです。人に教えることもできました。赤外線センサーを250にするとなって、サーボモーターを60にしたら、できました。ロボットを動かすのは、とても楽しかったです

武雄市「山内西小学校」の先生の声

プログラミング授業で子どもたちが身に付けた力というのは、(1)プログラミングする力、(2)みんなと協力して取り組む力、(3)粘り強く考える力です。

ブロックを使ってどのような順番がいいか変数を用いて考えたり、2人組、グループで、またクラス一丸となってプログラミングに参加したり、限られた時間で精いっぱいやり抜くという力が確実に身に付いていると感じます。

失敗しても踏ん張って考える力もついています

共通するのは「学びあい」「アクティブ・ラーニング」

プログラミング教育の先進事例を見ていると、多くの事例で「学びあい」「アクティブ・ラーニング」という言葉が出てきます。

学びあいは生徒同士が互いに教えたり教えてもらったりしながら理解を深めていく学習スタイル。
アクティブ・ラーニングは、生徒が主体的・能動的に学ぶ学習スタイル。

学びあいやアクティブ・ラーニングの学習スタイルが自然とできてくるのがプログラミングの授業の特徴のようです。

授業をするのに専門知識は必須ではない!?

2020年度から小学校でのプログラミング学習が必修化されます。
多くの先生が「プログラミングの知識などないのにどうやって教えればよいのか」と不安な思いをされてることと思います。

しかし、先進事例を見ていると、先生よりも子どもたちの方が詳しくて、子どもたち同士で教えあってどんどん成長している…という印象を受けました。

先進校の先生の声にこんなものがありました。

コンピュータ授業における先生の役割は「ファシリテーター(促進者)」であり、子供に寄り添って授業の支援を行うべき

「ここができない」と質問された時にも「どうしたら良いかな? 誰か分かる人いる?」と応じれば良く、技術的なことは時には外部の専門家に任せるべき

教師が教える授業ではなく、子供たちが学び合う授業にすれば、プログラミングの知識がない先生でも実践できます。

あえて先生が教えない勇気を持つことも大切かもしれません。先生が教えることが常態化すると、子供たちも教わることに慣れて、自発性が失われていきます。

教師が教えなきゃと身構えるのではなく、子供たちに学ばせる、子供といっしょに学ぶ、子供から学ぶというスタンスでいいと思います。

プログラミングを教えるのに、専門知識は必須ではないと、この2年間で実感しました。プログラミングの知識がなくても、まずは子供と一緒にやってみるといい。子供と一緒に楽しめばいいと思います。

プログラミングの知識がないことをそんなに不安がらなくてもよい、ということかもしれませんね。

とはいえ、プログラミング教育の先進校では専門家のサポートが入っていたり、校長先生自身がプログラミングにとても詳しかったりするので、やはり学校に丸投げというわけにはいかないような。。。

専門家のサポートが受けられる体制を整えつつ、授業自体は先生がおこない、「教える」のではなく「一緒に学びあう」ようなものが理想なのかなと感じました。


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