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ウワサの保護者会「学校に行かない!進路はどうする?」の感想。不登校経験者のその後

ウワサの保護者会

Eテレで2019年9月7日放送の「ウワサの保護者会」
テーマは「学校に行かない!進路はどうする?」

2週に渡って不登校をテーマに取り上げていて、今回はその第2週目です。(再放送は2019年9月14日 午後0時30分~)

前回は不登校になった理由にフォーカスしていて、前回の放送もすごく興味深い内容でした。

>>前回の概要と感想はこちら

今回は、不登校を経て、現在社会人として生活している人の話です。

どのように現在に至るのかとても興味があります。

7人の不登校経験者の話

しいなさん(女性)のケース

小学四年から友達関係に悩み不登校に。中学3年間は家族とも顔をあわせず部屋に引きこもっていた。
苦しくて感情をコントロールできず部屋で暴れたこともある。

 

お母さんは待つしかないと考えた。メモを添えて部屋に食事を届けて見守り続けた。腹をくくって根気よく待ってくれたのがありがたかった。出ておいでとか働きかけがあったら反発してたと思う。

 

ある日、テレビで日韓共催ワールドカップの試合中継を見た。日本代表がゴールを入れる瞬間を見て感動し、サッカーが好きになった。
同時に、韓国にも興味をもち国際交流にも興味をもつようになった。
テレビを見て独学で韓国語を勉強した。他の言葉も勉強したいと思った。
引きこもっているけど気持ちはワールドワイドだった。

 

19歳で国際交流ボランティアに参加。空港で通訳をしたり、情報誌をつくったり。
いろんな年齢、国籍の人とかかわるうちに人と接するのが楽しくなり働いてみたいという気持ちがわいてきた。

 

21歳で通信制高校に入学。
27歳で教員免許を取得。現在は高等専修学校の講師。

 

じっくり充電したから意欲が湧いてきたのだと思う。

たいがさん(男性)のケース

小5から中3まで不登校。
・おもちゃの改造
・アニメにはまる ⇒アニメが逃げ場だった。SFアニメに没頭
・ロボット展に行く ⇒ものづくりに興味をもつ
・中3の担任の先生に工芸高校を勧められる

 

15歳で工芸高校の夜間に進学。ものづくりを追求する。

 

18歳で千葉工業大学に入学。
・4本足ロボットの製作
・オートバイが好きになる

 

23歳 千葉工業大学大学院に入学
25歳 オートバイメーカーに入社

けんさん(男性)のケース

小1より不登校
・夏の補習
・父から理系の話しを聞く
・ゲームやブロックで遊ぶ

 

小4でフリースクールに入会
・スタッフと算数の勉強
・工作

 

12歳 中学校入学(不登校の子供を受け入れる学校)
13歳から本格的に勉強を始める(主に数学など理系科目)

 

15歳 公立高校に入学
数学で初めて周囲に認められ、数学にはまる。

 

18歳 京都大学に入学
・宇宙線の検出器の開発をおこなう

 

22歳 京都大学
24歳 電機メーカーに入社

ゆうきさん(男性)のケース

中1より不登校・ひきこもり
・ゲームにはまる
・昼夜逆転

 

13歳でフリースクールに入会
・ゲームがコミュニケーションツールに
パソコンが好きになる

 

16歳で高等学校卒業程度認定試験に合格

 

17歳 大学進学の予備校に入学
挫折して再び2年間ひきこもり
・ゲームにはまる

 

19歳 ITの専門学校に入学
・ITの勉強にはまる

 

23歳 IT企業に入社
26歳 結婚、長男誕生

ゆうきさんは、不登校の経験が就職のときに役立ったそうです。
不登校だったこと、フリースクールに行ったこと、専門学校にも自分から選択して行ったことを伝えたら、「自ら考えて行動している」と高く評価され就職できたのだとか。

親に敷かれたレールの上を歩んできた人よりも、悩み苦しみながら自分で考えて行動してきた人を採用したいと企業が考えるのは理解できますし、そういう企業が増えてほしいと思います。

棚園さん(男性)のケース

小1から不登校(中3まで)
・絵を描く
・漫画を描く

 

13歳で漫画家の鳥山明さんと出会う(母親の知人だった!)

 

15歳でアニメの専門学校に入学

 

17歳 夜間高校に入学(2週間でやめる)
予備校に入学
・大学入試資格検定(大検)取得
・友人との楽しい日々
・作品の持ち込みを始める

 

20歳 名古屋芸術大学に入学

 

26歳 漫画家デビュー

32歳 初の単行本「学校に行けない僕と9人の先生」発売

 

 

全員すごく興味深い経歴です。
しいなさん以外はサラッとした紹介で終わってしまってもったいない。。。

他の人たちの経歴ももっと詳しく、深く掘り下げて紹介してほしいと思いました。

30分ではとても足りないです。2時間スペシャルにしてほしいくらいです。

今もまだ社会に出られない人は?

スタジオに来ている人は「不登校だったけど今は上手く行っている」という人たち。

一方で、中高年になっても引きこもりから抜け出せない人たちもいるはずですよね。
今回はそういう人たちのことにはまったく触れられていませんでした。
そういう人たちはテレビ局のスタジオに来て自分のことを話すのも難しいでしょうし・・・。

不登校だったけど今は社会に出てうまくやってる人と、そうではない人の決定的な違いは何なのかな…という点が気になりました。

今回のしいなさんのケースでは、「お母さんが腹をくくって根気よく見守ってくれた」という話がありました。
前回の放送では、ゆうきさんのケースで、「お母さんが小⇒中⇒高⇒大へ行かせたいという自分の考えを変えてフリースクールを探してきてくれたから今の自分がある」という話もありました。

もしかしたら「親が変わる」という点にヒントがあるのかも…と感じました。

 

以前、引きこもりの問題に詳しい精神科医の斎藤環先生がテレビで話しておられたことを思い出しました。

引きこもりのきっかけは学校や職場などさまざま。
でも引きこもりが長期化して抜け出せないのは「家族の関わり方」に原因があることが多い。

そんな話でした。

親が覚悟を決めて変わる。
これが大事なのかもしれませんね。




デモクラティックスクールとは?

ウワサの保護者会では、「まっくろくろすけ」というデモクラティックスクールが紹介されていました。
フリースクールの一種のようです。

デモクラティックとは民主主義のことですが、デモクラティックスクールはまさに子供達が民主主義で自分たちのことを決めていく学校です。

  • 何をするかは自分で決める。
  • どんなルールにするかは子供達が話し合って決める。
  • 大人のスタッフはいるが、子供達に何かをしなさいと指示することはない。
  • 子供も大人も対等に話し合う。

こんなスクールです。

番組ではデモクラティックスクールで子供たちが思い思いにすごしている様子が一瞬写っていましたが、勉強している子とテレビゲームをしている子、ギターを弾いたり歌を歌っている子など本当にさまざま。
カオス・・・と感じてしまいました^^;

小4の次男はこの様子を見て無邪気に

いいなー、ぼくもここに行きたい!

確かに自由ですごくいいように感じますが、「これはこれで大変そう」とも感じます。

何でも自分で決めるとか話し合って決めるって思っている以上に大変なこと。
言われたことをやる方がずっと楽な場合もあると思うんです。

こういう学校が普通の学校より優れているとかダメだとかそういう話ではなくて、性に合う子は合うだろうし、合わない子は合わないだろうな・・・と思いました。

でも自分で決めるってすごく大切なことだから、大変でも自分で決めて来た子はそれだけ周りに流されない、自分の考えをしっかり持った子になるのかなと思ったり。

デモクラティックスクールから社会に出た人の話

デモクラティックスクールに通っていたげんきさんの経歴も印象的でした。

14歳でデモクラティックをやめた

 

飲食店でバイト  ⇒食材・農業に興味をもつ

 

農業研修を受けた ⇒農業に進むかどうか迷って何をすればいいか考えようと・・・

 

20歳で世界一周の旅に(1年3ヶ月)

 

昨年から兄の農業の手伝い
移動販売のカフェの経営も始めた

げんきさんは世界一周の旅のほか、自転車の旅もして1日200円で生きていけるか試したそうです。
序盤で挫折してしまったけど、いい人に出会って助けてもらったのだとか。

「人にはいっぱい迷惑をかけていると思う。でも、人を助けたり助けられたりすれば生きていくのは全然問題ない。生きることは簡単だと腑に落ちた」
という言葉が印象的でした。

ここから、「人の力を借りるスキル」について、尾木ママや熊本大学教育学部准教授の苫野一徳先生がコメントしていました。

「なんとかなるだろう」「困ったら誰かに頼ればいい」という考えは、実はとっても大事なことなのだと。

一見頼りなく無責任なように感じてしまいますけどね。

でも、わたしも「人に頼る」というのは生きていく上でかなり大事なスキルだと思っています。

人の力を借りるスキル

なんだか世の中には「人様に迷惑をかけずに行きていかなければいけない」という呪縛があるような気がしませんか?

たとえば、SNSで夫の愚痴を言ったり、子育てが大変だとか、子供にお金がかかるから大変だ・・・みたいなことを書くと、すぐ「自己責任だ」って言ってくる人いませんか?

  • そんなこと最初からわかってたはずだ
  • だったら産むな
  • 予想できたことなのに

とか。

人生において想定外のことが起きることなんていくらでもあると思うんですけどね。
こういう人たちって、常に未来をすべて予知できる神か何かなんでしょうか。

何かにつけて「自己責任だ」といって人を責める人たちは、この先、生きていくのが大変だろうな~と思ってしまいます。
自分が窮地に陥ったときも自己責任ですから人に頼れないですものね。

ニュースで耳にする事件も、「人の力を借りるスキル」がないばかりに介護や子育てで行き詰まって・・・というものがありますよね。

困ったときは人に助けてもらえばいい。そのかわり、自分に余裕ができたときは困っている人を助けてあげる。
そう思える人が増えれば、もっと生きやすい世の中になるのでは・・・と感じました。

なんだか不登校とは話がそれてしまいましたが、今回の「ウワサの保護者会」はいろんなことを考えさせられる回でした。