悪い人から身をまもる本「とにかくさけんでにげるんだ」を買いました。
Amazonのレビューの評価が高かったので買ってみたのですが、これは一家に一冊レベルですね。
子供に伝えたいけど伝えづらい内容がわかりやすく書かれている!
迷子になった時どうするか、連れ去られそうになったときどうするか、性被害にあったときどうするか、といったことが子供の視点で物語としてかかれています。
信じたくないことですが、性被害を受けた子供のほとんどが加害者を知っているといいます。
たとえば学校の先生や保育園の先生、習い事の先生、近所のやさしいおじさんなど家族が信頼している人だったり、親戚や家族から性被害を受ける子もいます。
そしてこれまた信じたくないことなのですが、加害者は口止めしたり罪悪感を与えたりして子供をたくみにコントロールし、長期にわたって被害を与えていくのだそうです。
今回購入した絵本「とにかくさけんでにげるんだ」には、こうした子供に説明しづらい犯罪もお話として出てきます。
自分ではうまく説明できない、でもこういう危険があるということを子供に知っておいてほしいという親御さんは、こういう絵本を活用するのが良いと思います。
読み聞かせるだけでもいいですし、絵本をきっかけに親子で話し合ってみてもいいですね。
「とにかくさけんでにげるんだ」のあらすじ
この絵本には6つのお話が出てきます。
デパートで迷子になったお話
デパートで迷子になってしまった男の子のお話です。
- 大声でさけぶ?
- 走り回ってお母さんを探す?
- 知らない人が「一緒に探してあげるからおいで」と言ったら?
と悩んだ結果、お母さんに言われていたことを思い出します。
最後は、店員さんに「お母さんをさがしてください」と頼んで無事にお母さんと会えてひと安心。
公園で知らない人に連れ去られそうになったお話
男の子が公園で遊んでいると、知らない人がニコニコ親切そうに「○○ちゃん、お母さんから電話があって急いで帰っておいでって言ってたよ。おじさんの車で一緒に帰ろう」と話しかけてきました。
おじさんがウソをついていると見抜いた男の子は、自分も上手にウソをついて知らないおじさんを撃退します。
撃退したあとは、「きっと悪い人なんだよ。ぼくは急いで帰って、うちの人にいまのことを教えるんだ」と。
マンションの住人から体をさわられたお話
マンションの1階にある郵便受けに、いつも一人で手紙をとりに行く女の子のお話です。
1階に、いつも嫌な目つきで見てくるおじさんがいて、あるときそのおじさんとぶつかって転んでしまいます。
おじさんは女の子を助け起こしながら体をあちこちさわってきたため、女の子は走って逃げて、お母さんにそのことを全部話すという内容です。
ホテルの廊下で知らない人に部屋へ連れ込まれそうになったお話
家族旅行でホテルに到着。両親は荷物を運ぶのに忙しく、お姉ちゃんは泣いている弟をあやしたりと、みんながバタバタしている間に男の子はゲームコーナーを探そうと一人でホテル内をウロウロ。
廊下で男の人に話しかけられ、「この部屋にすごいゲームがあるから見においで」と部屋へ連れ込まれそうになってしまいます。
子供が行方不明になったと報じるニュースを見ながら親子で会話
子供が行方不明になったというニュースを見ながらお父さんと女の子が会話しています。
- きょうあくって何?
- 悪い人はどうやって男の子をつかまえたの?
- そういうとき、わたしはどうすればいいの?
- なぜ、そういう人は子供にひどいことをするの?
などなど、女の子の疑問にお父さんがていねいに答えながら「とにかく走ってにげるんだ」「どんなときでも絶対に知らない人の車に乗ってはダメだ」と身の守り方を教えるお話です。
親戚のおじさんの家で性被害を受けたお話
女の子が、ゆかちゃんという友達の異変に気づき「どうしたの?」とたずねると、ゆかちゃんは昨日迎えに来てくれたサムおじさんの家であったことを話してくれました。
嫌なゲームをした、服を脱いでおじさんがわたしに嫌なことをした、おじさんは後でケーキやおもちゃをくれたけど、わたしはそんなゲームしたくなかった・・・
ゆかちゃんが「お母さんに言えない。きっとわたしが悪いって叱られる」と泣くので、女の子は一緒に行ってゆかちゃんのお母さんに話してあげることに。
ゆかちゃんのお母さんは「あなたはぜんぜん悪くない。悪いのはサムおじさんよ」「話してくれてありがとう」「誰かが嫌なことをしたら、たとえそれが家族や親戚の人でもお母さんに教えてね」と受け止めてくれました。
怖い未遂事件やシリアスな内容を扱っているのですが、子供を怖がらせすぎないような書き方になっているので「こういうこともあるから知っておいてね」というのにちょうど良いと思いました。
保護者に向けたあとがき
この絵本の巻末には、保護者に向けたあとがきがあります。
- 子供たちに教えておいてほしいこと
- 性被害のサイン
- 子供が性被害を受けてしまったとき
などが詳しく説明されています。
この絵本の訳者である安藤由紀さんもあとがきを書いておられますが、この方「CAP」の日本グループを立ち上げた方だったんですね。
子供が自分の身を守るためのCAP研修とは
うちの子の通っていた保育園では「CAP研修」というのを親と子供が別々に受講するようになっていて、子供の権利意識や子供が誘拐や性被害から身を守る方法などを教わったことがあります。
研修は短い時間だったので、本当にさらっと簡単にという感じでしたが、子ども自身が性被害から身を守る方法として教わった「プライベートゾーン」という考え方が印象に残っています。
水着でかくれている部分は「プライベートゾーン」といって自分だけの大切な部分。
だから人に触られたとき(触られそうになったとき)は「いやだ!やめて!」と言っていいんだよ。
そしてお母さんや先生にそのことを話しましょうね、という内容でした。
定期的に繰り返し読み聞かせよう
常に親がついて回って子供を完璧に守れるわけではないので、このように自分で自分を守る方法や知識を子供に教えておくことはとっても大切なことですよね。
でも、一度教えただけでは時間がたつと忘れてしまいます。
やはり、繰り返し話題することが大事だと思います。
また、クイズ形式にするのも楽しく気軽に話題にできるのでおすすめです。
- 知らない人に「かわいい猫の赤ちゃんが生まれたからうちに見においで」って言われたらどうする?
- 「お母さんが車にひかれて病院に運ばれたよ!今すぐ一緒に病院まで行こう」って言われたらどうする?
- 「○○小学校まで行きたいんだけど、車に乗って道案内してもらえる?」って頼まれたらどうする?
- プライベートゾーンってどこだっけ?
- プライベートゾーンを触られたらどうするんだった?
子供たちははりきって答えてくれますよ。