Eテレで2019年8月31日放送の「ウワサの保護者会」
夏休みが終わる8月31日の放送ということで、学校に行けない・行かない「不登校」がテーマでした。(再放送は2019年9月7日 午後0時30分~)
2週連続で不登校をテーマに取り上げるようで、今回はその第1週目です。
さっきまでなんともなかったのに「おなかが痛い」と言い出したりして仮病かな?と感じることもあります。
面倒くさい、家でゴロゴロしたい、宿題ができていない、テストを受けたくない、学校で嫌なことがあった・・・など理由はさまざまだと思いますが、親としては励まして行かせるべきなのか、休ませて様子を見るべきなのか悩むことも多いです。
1日休んで元気になれば問題ないですが、そのままズルズルと何日も休んで子供が学校に行けなくなったらどうしよう・・・と不安になることもあります。
不登校の子供たちはどういう思いを抱えているのか、とても興味深く番組を見ました。
ウワサの保護者会を見た後の感想を一言でいうと
見終わった後の感想を一言であらわすと、
学校が合わないならほかの学び方を探せばいいと思えるようになった
「子供が学校に行けなくなったらどうしよう」という考えから、
- 学校に行くことに固執する必要はない
- 合わないなら無理しなくていい
- 他の学び方を探せばいい
と気楽に考えればいいんじゃないかと思うようになりました。
学校がつらくて自殺してしまう子もいることは知っていますから、もともと「何が何でも学校に行かなければならない」とは思っていませんでしたが、それでも「イジメにあって死ぬほどつらい」とかよほどの理由がない限りは学校には行った方がいいという考えでした。
でも、この番組を見て少し考えが変わりました。
他人から見たらほんの些細なこと、「え、そんな理由で?」というようなちょっとしたきっかけで学校に行けなくなってくなってしまう子がいて、でもそれはその子が人間として弱いとか欠落しているということではないんです。
人一倍感受性が強かったり、物事を深く考えるタイプだったり、誠実に生きている子だったり。
そんな子たちが学校に行けなくなって「自分は社会不適合者だ」「親に迷惑をかけている」「生きている資格がないのでは」と毎日自分を責めて苦しんでいるという。。。
番組は、現在学校に行っていない10代の3人と、学校に行かなかった経験のある7人の社会人が輪になって話し合うスタイルでした。
当事者の発言をいくつか紹介します。
不登校をしている人、不登校の経験がある人の声
不登校になったきっかけは?
学校では友達が多く、人の顔色をうかがうタイプだった。
あるとき友達同士がケンカしていて陰では「あいつウザい」と悪口を言ってるのに、対面すると「大好き」と言っていて怖くなった。自分もそう思われているのではと思うとプツンと何かが切れて、学校に行けなくなった。
深く考えてしまうタイプ。自分は周りと何か違うという思いから周囲とズレていって学校に行けなくなった。
宿題ができていなくて、そのまま学校に行くと怒られるのではと不安で行かなかったら、そのままずるずると行きづらくなってしまった。
スクールカーストのような雰囲気があるクラスで、学校ではずっと緊張していた。
小2のとき、クラスにバイキン扱いされている女の子がいて、自分もその子をバイキン扱いしてしまった。みんなに合わせないと怖かったから。
自分もされるかもしれないのに人にしてしまうのは辛かった。
学校を休みがちになり、不登校に。
不登校をしている間の気持ちは?
自分が認められない。自分が許せない。
なんで休んでるの?と言われても自分でわからなくて答えられない自分が悔しい。
親に迷惑ばかりかけて申し訳ない。
ゲームに没頭していた。社会に出られない自分はどうなってしまうのか…不安でなおさら現実逃避してゲームに没頭。毎日つらかった。
自分でも不登校をしている自分が認められなかった。
15歳でせめて働こうとアルバイトを始めたが些細なミスで怒鳴られたり学校に行かなかったことを否定されたりして続けられなかった。
働けない自分はダメだと自分を責めて、死にたいと思うようになった。
親に迷惑をかけている。自分が生きていく分くらいは稼げないとダメだ。仕事をするということは人間としての証明、生きていていい人の条件だ。
だから「申し訳ないです。もうわたしなんか死にます」という気持ち。
父には学校に行かないのは甘えだと言われる。
将来引きこもりになって一生自分たちが世話しなければならないのではという思いが強かったようで、父と対立して辛かった。できれば何も言わずに見守ってほしかった。
外へ出ても図書館の人に「あの子みたいにはなってほしくない」みたいなことをたくさん言われ、夢にも出てくるようになった。
引きこもりになっても母親は小→中→高→大まで行かせたいという考えを変えなかった。
そのため自分は追い詰められて窓から飛び降りようとしたことがある。
そのあたりから母の考え方が少し変わってきてフリースクールを探してきてくれて今の自分がある(現在IT企業会社員)。
社会に不適合なのでは?と自分が悪いと責めてしまうのが一番つらいところ。
学校に行くのがつらくて行けなくなって、行かないことで楽になったのかと思いきや、「こんな自分が許せない」と自分を責めてさらに苦しくなってしまっているんですね。
わたしもそうですが、「学校に行くのが普通。行けない子は問題を抱えた子」という偏見を持っていたり、「一時的に行けなくなったとしてもがんばって学校に戻らなければならない。ずっと学校に行けないままだと社会に出られない」という思い込みだったり。
「不登校=社会不適合」という世間の空気が、学校に行っていない子をさらに追い詰めて苦しめているのだなと感じました。
死にたいけど本当は生きたい。生きるための選択肢が不登校だった
小2からずっと不登校で、今は印刷デザインのお仕事をしている「ななこさん」という方の言葉が非常に印象的でした。
ななこさんは、17歳でフリースクールに通っているとき、どうして死にたいと考えてしまうのか知りたいと思い、頻繁に頭に浮かぶ言葉を紙に書き出して表に整理したそうです。
表にしてみてわかったのは、
「死にたい」という思いは「生きたい」という気持ちから始まっていた。
自分は本当は生きたかったのかと衝撃を受けた。
生きたいけど生きたいように生きられないから死にたかったんだというのが、表を見てはっきりしたので、自分を認められる感じがして、すごくそこが変わった。
楽しいことをしたいから生きたい。
楽しいことを遮るものが学校だった。
だから学校に行けないのは自然なことだった。
公民連携。無料で通えるフリースクール
番組の後半では、学校に行けない子供のために、学校以外の学びの場や居場所作りが進められていると紹介がありました。
たとえば、
- 世田谷区の「ほっとスクール希望丘」
- 神奈川県川崎市のフリースペース「えん」
区や市が施設を作って、民間のフリースクールやNPO法人が運営している公民連携の取り組みです。
利用料は無料。(昼食代のみ)
私立のフリースクールだと保護者の経済的な負担が大きくなってしまうので子供も通いたいと言いづらいですが、このように無料で通えるフリースクールが増えると、親も子供も、学校に代わる選択肢の1つとして気軽に利用できそうです。
熊本大学教育学部准教授の苫野一徳先生のコメントも紹介したいと思います。
学校は150年間ほとんど変わらないシステムで続いてきた。
みんなで同じことを同じペースで同じようなやり方で、同質性の高い学年学級制の中で、出来上がっている答えばかり勉強する。
するとその中で空気を読みあったりというサバイバルをしなければならない。
その苦しさがもう限界を迎えている。
学びの場の多様性と変革が求められている。
2017年から教育機会確保法が施行され、学校以外の学びの機会を保証するよう少しずつ前進している。
全国同時多発的に(公民連携のフリースクールなど)大きな転換の兆しがたくさんでてきていて多分どんどん加速するのではないか。
ツイッターの感想
昔の価値観で生きてる親世代ってついつい普通に
みんなと同じ様に学校に
行って成長して欲しいと
思ってしまいますが
それが子供を追い詰めてしまうんだなと
そのストレスがいじめに向かったりする事もあるのかもしれないですね
大人が変わらないと駄目なんですね😓#ウワサの保護者会— Ta64230825 (@tekumaku50) August 31, 2019
色々考える。
感受性豊かだったり、色々考えられる子ほど不登校になりやすかったりするのかなぁ
専門職ついてる人多かったし
頭の中で色々考えられるから
#ウワサの保護者会— 名前 (@RTcLxI97O6C68B1) August 31, 2019
なんにも知らない自分には「学校に行かない・行けない」の理由がいじめ以外にもいろいろあるんだって、生の声を聞いてハッとさせられた。#ウワサの保護者会 #不登校
— ととっと🥕 (@totojoel99) August 31, 2019
逆に、高校まで12年間学校に行き続けて得たものはその時間の長さに見合うのだろうか、と思ってしまう。
特に、小5~高卒までいじめや仲間外しや、幼稚な嫌がらせを受け続け、「社会性」だの「協調性」だの得られたとは思えない立場としては。
— similarl (@similarl8) August 31, 2019
娘氏「不登校児のテレビが見たい」って言うからなんで?って聞いたら「不登校の人を見てみたい。自分が変じゃないって思いたい」って言っててウオー!ってなった。不登校してたって変じゃないし、おかしいのは150年も制度変わってない学校だよって伝わったかな #ウワサの保護者会
— ハルカ🐃🐂🐄 (@Haruchama) August 31, 2019
次回のウワサの保護者会にも期待!
次回は不登校をテーマにした第2週目。
「学校に行かない!進路はどうする?」というテーマです。
学校に行けなくなることによって「小→中→高→(大)→社会人」という進路のレールから外れたときにどうなるのか。
わたしたち親はそれを知らないから、不安で子供に「普通に学校に行ってほしい」と思ってしまう面があります。
ニュースで耳にするような、50歳の引きこもりの息子を80歳の親が養う・・・みたいな状況を想像してしまったり。
学校に行かなくても、いろんな道があるのだということを具体的に知ることができれば、
- 「学校に行かない」=「社会不適合」ではない
- 学校が合わないならほかの学び方を探せばいいだけ
と、広い心で「学校に行かない」という子供の選択を受け止めることができると思うのです。
次週のウワサの保護者会も楽しみです!
>>ウワサの保護者会「学校に行かない!進路はどうする?」の感想。不登校経験者のその後
放送日時:2019年9月7日(土)午後9:30~9:55
再放送:2019年9月14日(土)午後0:30~0:55