子供のゲーム問題。
悩んでいる親御さんは多いですよね。
どう対処するのが正解なの・・・?とネットやSNSで調べても、納得できる情報はなかな見つからないのではないでしょうか。
ゲームのルールが守れない息子に対して、わが家ではこうしました、という話をしたいと思います。(いろんな本を読んで悩みまくった結果です)
もちろん、お子さんの性格やゲームへのはまり具合、家庭環境などはさまざまですから、どういう方法がベストと言い切れるものではありません。
なので、あくまでも「わが家ではこうした」という話です。
ゲームを禁止しても効果がない!?ちまたでは・・・
ちまたには子供のゲーム問題についていろんな説が出回っていますよね。
- 禁止するのは逆効果。禁止されるとやりたくなる
- ゲームが将来の仕事につながる可能性もある
- 好きなことは、とことんやらせてあげた方がいい
- 好きなだけやりきればそのうち飽きる
などなど、ゲームに対して肯定的な意見もよく目にします。
一般的によく言われているのは
子供と話し合ってルールとペナルティをつくる
というものでしょうか。
たとえば、こんな感じです。
ゲームは1日1時間まで。使わない時間は親にゲーム機を返す。守れなかったときは1週間ゲーム禁止
こういうルールをきちんと守ってゲームをしてくれれば平和に丸く収まります。
ルールを作っては破られ・・・の無限ループ
うちの場合はこんな具合でした。
自主的に時間を守れない
時間を決めても自主的にゲームを終わることができません。声をかければすぐやめますが。
明らかにオーバーしているときはルールどおり一定期間ゲーム禁止にします。
親がずっと監視できるわけではない
決めた時間でゲームをやめることができたかどうか、毎日親が監視してチェックできるわけではないですよね。
こちらもたくさんやることがあるので、「○時にゲームを始めたからもう終了時間だな・・・」などといちいち気にかけていられなくなります。
子供がゲーム時間を守れているかどうかを毎日気にかけなければならないことにだんだん疲れてくるんです。
それをいいことに、ずるずるとなし崩し的にルールが守られなくなります。
ゲーム機は返していないがゲームは時間内に終わったとごまかす
ふと気が付くともう何時間もゲーム機を返しに来ていないので「○時間以上たってるでしょ!」と声をかけると、「途中でテレビを見てた」「ほかの事をしていた」と主張します。
ずっと監視していたわけではないので本当かどうか確認できません。
また、わたしが階段を下りる足音を察知してあわててゲームを終了しているのでしょう。
どうしてゲームを返しに来ないの?ときくと「充電してたから」とか、「あ、忘れてた!(でもゲームはちゃんと時間内に終わったと言いたげ)」と言います。
親の外出中にこっそりゲーム
明らかにルールを守っていないときは一定期間ゲーム禁止にします。
ところが、親の留守中にこっそりゲームをしているんです。
保管場所をあちこち変えてみても、探し出してこっそりやってるようです。
(帰宅したときのガサガサっという不自然な動きですぐわかりますよね。。。)
次はどこにゲーム機を隠そうか、などと考えなければならないことに疲れ果てて情けなくなってきます。
ぶち切れて叱る
こっそりゲームをしていることはバレバレですから、いい加減アタマにきて叱ります。
「守れないならもうゲームはさせない」と。
再度話し合ってルールを決める
しばらくは諦めておとなしくしていますが、何日かするとそろそろゲームをしてもよいのではないか、今度から絶対に約束を守るから、としつこくわたしを説得してきます。
わたしも一生ゲームをさせないでおこうとは考えていないので、ではどんなルールなら守れるのかもう一度しっかりと話し合って決めようということになります。
そんなルールではいくらでもごまかせるからダメだとか、本当にそれで守れるのかとか、いろいろ話し合って、最終的に決まったルールを忘れないように紙に書いて貼っておきます。
何度でもルールを破る
新しいルールでスタートしたものの、何日かするとやっぱりずるずるとルールを守れなくなってきます。
振り出しに戻るという感じ。
ルールの内容が少しずつ変わるだけで、結局同じことの繰り返しです。
ゲームのためにウソをついてごまかして、コソコソして。
情けないし腹が立つし、またわたしをだますつもりなのか・・・もう許せない!となり、「本当にゲームを捨ててしまおうか・・・」という考えがよぎりました。
でもそんなことをしたら息子は一生わたしを許さないだろうか・・・
友達と遊べなくて仲間はずれにされる?
さすがに厳しすぎるかも・・・
かといって「ルールを作っては破られ・・・」の無限ループに戻るのはもうガマンできない
困ったときは専門家の書いた本を読む
今までも、本当に困ったとき、自分ではどうすればいいのかまったくわからないときは専門家の書いた本に助けられてきました。
なので今回も、ネットでいろんな人の断片的な意見を見て振り回されるのではなく、その道の専門家が書いたものをちゃんと読んでみようと思いました。
このゲーム問題というのはどう対処するのが正解なんだろう・・・と、子供のゲーム問題やネット依存に関する本を何冊か購入して読んでみることにしました。
そこでゲーム依存の怖さを知ったのです。
- ゲーム依存者の脳内で、薬物依存と同様の神経ネットワークの乱れが見られること。
- いわゆるネトゲ廃人と呼ばれる人たちの実態や、海外では本人が死亡したり家族間での殺人事件に至るようなケースもあること。
- 中国や韓国ではかなり危機感をもってゲーム依存・ネット依存の治療法が研究されていること・・・などなど。
これは早めに対処しないと取り返しのつかないことになる、と思いました。
平気でルールを破りウソをつく長男を許せない!という思いから、「この子は病気になりかけているのかもしれない。何とかして守ってやらなければ」という思いに変わっていきました。
参考になった「ゲーム依存症」の本
その当時、わたしが読んだのは次の3冊です。
精神科医の岡田尊司先生が書かれた本で2014年に出版されたものです。
医学的な根拠を示しながらゲーム依存症になるメカニズムが詳しく解説されています。依存症の恐ろしさもよく分かると思います。
依存症を見分けるチェックリストや、予防法、克服方法なども書かれているので、ゲーム依存症という病気を正しく理解するのに役立つ1冊です。
かつて自分の子供のゲーム問題で苦しんだブルーナー夫妻が、その経験を綴ったものです。
2007年に出版された、かなり古い本です。わたしが数年前に購入したときも古本しか手に入りませんでした。古本でも読んでみることをおすすめします。
ゲーム依存症の病院などまだなかった時代に、いち早くわが子の異変に気づいて真剣に対処してきた経験が詳しく書かれており、親がどうやって子供のゲーム問題に対処してきたか、ここまで詳しくかかれたものは他にないと思います。
結論としては、「ゲームを取り上げる覚悟がいる」ということが書かれていました。
また、ただ取り上げるだけではなくて、ゲームに代わる楽しいものを見つけられるようサポートする覚悟も必要ということでした。
こちらはネトゲ廃人になってしまった人たちの体験談を集めたインタビュー集です。
ゲーム依存の当事者の視点で、どのようにゲームにはまっていくのか、はまって抜け出せなくなった後どうなるのかが生々しくリアルに書かれています。
読んでいて感じたのは、大好きなゲームをまさに寝食を忘れるほどやり込んでいながら、「楽しい」のではなく「苦しい」のだなということ。
「子供のころ親がゲームを取り上げてくれていたら」と語るネトゲ廃人の方が何人か出てきて、わたしの決心が固まりました。
息子から完全にゲームを取り上げることを決心した
真剣に考えて、悩んで悩んだ末にゲームを取り上げることにしました。
しばらく預かるとかではなく、捨てることにしたんです。
息子に真剣に話をしてゲーム機を取り上げることについて納得してもらいました。
長男は当時、中学1年生でした。
わたしが読んだ本の内容なども説明しました。
ショッキングな内容ですが、ゲームをやめられなくて本人が死亡したり家族間で殺人事件がおきていることなども話しました。
「楽しみを奪うのはかわいそうだけど、あなたをこんな目にあわせるわけにはいかない」
「ゲームをやめる助けになることはできる限り協力する。何かチャレンジしたいことや興味をもっていることがあるなら言ってほしい」
まさに涙ながらに訴えました。
息子は神妙な顔で話を聞いていて、反発することなく意外とすんなり受け入れてくれました。
ゲームを取り上げた後どうなったか
ゲームを取り上げた後どうなったかですが・・・
ゲームは本当に捨ててしまったので、ゲームのことでウソをつく必要もないし、こちらも叱る必要がありません。
落ち着いた生活ができるようになりました。
息子はこれまでゲームをしていた時間、マンガを読んだりテレビを見たり、たまに絵を描いたり勉強したりして過ごすようになりました。
ゲームに未練はあるのかもしれませんが、わたしには何も言ってきません。
中学1年生だったので、ギリギリまだ親が管理できたという点ではラッキーでした。
反抗期で親の言うことをまったくきかない時期だったら、こんなにすんなり行かなかったかもしれません。
もちろん、今はゲームをやめることができていても、親元を離れて一人暮らしをするようになったらどうなるかわかりません。
またゲームにはまって大変なことになるかもしれませんが、そのときはもう仕方ないと思っています。
ただ、今はわたしが守ってやらなければならない。わたしに責任があると思いました。
本を読んでおいたおかげで、感情的に叱って一方的にゲームを捨てる、ということをしなくて済んだのも良かったかなと思います。
もし、お子さんのゲーム問題で悩んでいるなら、まずは専門医の書いたゲーム依存症の本を読んでみることをおすすめします。